工場におけるデータの見える化を実現するために、計測器やセンサを使って工場内の様々な現場や機械でデータ取得が行われます。加速度センサ・振動センサ・電流センサ・音センサ(マイク)・温度センサ等から得られるデータを時間に対してサンプリングして記録することで時系列データが得られます。したがって、時系列データは工場で得られる計測データの中でも最も標準的な形式となります。
それらの時系列データから異常検知や正常異常判定等の様々な判断が行われます。単純な状況ですと、時系列データの生データからそれらの判断を行っても比較的うまくいくことが多いのですが、複雑な状況ですとそれらの判断精度が悪化してしまいます。
複雑な状況で最も典型的な状況が雑音が存在する場合です。信号成分だけだったり、信号成分が雑音成分に比べて大きい場合には簡単にうまくいくのですが、雑音成分が信号成分に比べて大きいと、それらのデータを処理なしに使って判断させるとルールベースの場合も人工知能を用いる場合でもうまくいきません。そして、工場の場合は信号成分よりも雑音成分の方が大きい状況は少なからず発生します。
そのような雑音成分が大きな場合には信号処理による雑音抑制が必須となります。信号成分と雑音成分のスぺクトルに違いがある場合は移動平均やディジタルフィルタ等が有効ですし、信号成分と雑音成分のスぺクトルの形状が似ている場合には、ε分離非線形ディジタルフィルタや適応平滑化法・メディアンフィルタ等の非線形フィルタが有効です。ある程度規則性のある信号が期待できる場合にはカルマンフィルタを用いることもできます。時間周波数解析してスペクトログラムにするだけでも、スペクトログラム上で信号成分と雑音成分が分離できることが多いのでルールベースや人工知能による判定が容易になります。
これらの雑音抑制の手法はどれか一つの手法で全て解決するのでしたら単純で簡単なのですが、センサで計測される時系列データの雑音成分と信号成分の関係は皆状況に応じて異なっておりますので、ケースバイケースで手法を取捨選択して最適化する必要があります。
「AI技研」は計測と計測データ処理及び雑音抑制法に関しても長年の実際的経験を有しておりますので、それらを最適化したり有効に活用したりすることについても多くの技術があります